よくある質問をまとめてみました。
ただし病状や程度は人によりまちまちなので、
実際に診察を行わないと正確な回答はできないことをご了承ください。
Q1 歯みがきはいつから始めるのですか?
乳歯が生えはじめたら始めましょう。はじめは習慣づけから。お子さまの頭をひざの上にのせてお口の中を観察してください。生え始めはガーゼで軽くふれるだけでも良いのですが、ある程度生えてきたら歯ブラシで歯の表と裏をみがいてください。当クリニックではワンタフトという先端が丸くて小さいブラシをおすすめしています。
Q2 歯ブラシの選び方を教えてください。
ブラシの毛の部分の大きさは乳歯2本分ぐらいのサイズで、毛の長さは短めで、コシのしっかりしたものがみがきやすいです。歯ぐきが傷つかないよう毛先の先端が丸く加工処理してあるものが良いです。生え始めの時期は歯ぐきがかぶさっていて普通のブラシは中まで届かないので、ワンタフトブラシがおすすめです。
Q3 歯みがきは毎食後するべきでしょうか?
1日1回でいいです。夜おやすみ前にみがいてあげてください。もし眠たくて嫌がるようならお子様の機嫌のよい朝や昼でもかまいません。ただし就寝中は唾液の分泌が減るのでむし歯菌が増加しやすくなります。できればおやすみ前が理想です。
Q4 授乳や哺乳びんでむし歯になるとききましたが本当ですか?
1~2歳児のむし歯は上の前歯から広がっていくことが多く、寝る前や夜中の授乳との関連が深いことから、「哺乳むし歯」とよばれます。砂糖を含む飲料だけでなくミルクや100%の果汁なども、むし歯の原因になる可能性があるので要注意です。むし歯予防の観点から、授乳や哺乳びんの使用は1歳半頃を目安に卒業していただくのが望ましいと思います。ただし様々な事情で卒乳が困難なお子さまも当然おられると思います。その場合は1日1回の歯みがきを行い、小児歯科医の指導のもとで健診や歯のクリーニング、フッ素塗布を定期的に受けてください。
Q5 フッ素は何歳からぬることができますか?
何歳以下はダメで何歳以上はOKという明確な基準はありませんが、私は乳歯の2つ目の奥歯が生え始める2歳頃から、とお答えしています。生えて間もない歯は石灰化が不十分なためむし歯になりやすい反面、フッ素を取り込みやすい性質があります。したがって乳歯も永久歯も生えた直後に塗るのが効果的ですが、費用対効果を配慮すると、ある程度歯が生えそろっていて、かつむし歯の原因菌がお口に定着し始める時期が2歳頃ということです。お子様の生育環境はまちまちですし、あくまで一般的な目安ということでご理解ください。
Q6 歯磨き粉は何歳から使えますか?
ふつうの歯磨剤は、みがき終えたらはきだして水で洗い流すのが基本です。したがって自分で洗面台に立って飲み込まずに吐き出せる時期、つまり4~5歳くらいが目安かと思います。ただし歯磨剤なしでも歯垢は落とせますし、大量に使うとかえって口の中が泡だらけになってきちんとみがけません。絶対に使わなければならないというものではありません。
Q7 むし歯ができたので歯医者につれていったらこわがって治療ができませんでした。
嫌がらなくなるまで放っておいてもいいものでしょうか?
むし歯の進行状況を正確に診断して対応を決めます。乳歯ではC2、つまりむし歯が象牙質まで進んでいると、短期間で歯髄(神経)まで到達してしまい、のちのちお子様の治療の負担が大きくなります。もし神経が感染して根に膿がたまり始めたら、抜かずに残す治療がとても難しくなります。ぜひ小児歯科専門医にご相談ください。小児専門なら恐がりのお子さんでも上手に対処してもらえますし、もしひどく嫌がっても安全で確実な治療を受けることができます。もちろん正確に診断した結果、治療を急ぐ必要がなければ進行抑制剤を用いて経過観察とすることも可能です。
Q8 4歳で受け口(かみ合わせが反対)です。マウスピースで簡単に治せるときいたのですが本当ですか?
前歯のかみ合わせが上下逆になっている状態を反対咬合といいます。3、4歳を過ぎて自然に治らない場合、永久歯も反対咬合になりやすいので、私は早めの治療開始をおすすめしています。
反対咬合の原因は、①骨格のずれ(上あごより下あごの骨が大きい)②口の周りの筋肉のアンバランス(上くちびるが上の前歯を内側に押す、舌が下の前歯を強く押す癖など)です。幼児期の反対咬合の治療で用いられる「ムーシールド」という特殊なマウスピースは、主に②の筋力のアンバランスを早期に改善することを目的としています。
夜寝ている間だけ1年間装着するという簡便な方法で、約9割のお子さんに改善がみられることから、近年広く知られるようになりました。
しかし①の骨格のずれが強いときは良い効果を得られない、扁桃腺の大きいお子さんはうまく使えないなどの問題があります。また反対咬合が治っても永久歯が生え変わる時に歯並びが悪くなったり、思春期に下あごが著しく成長し反対咬合が再発することもあります。
最初は小児歯科や矯正歯科専門の歯科医院での相談をおすすめします。そして治療前には精密な検査を受けてから開始されるのが良いでしょう。反対咬合や受け口の治療は簡単に治る場合もありますが、一般的には長期戦になると考えてください。
したがって長期間見守ることが必要です。幼児期に治療をしておけば全員がその後の矯正治療をしなくてすむ、というものではないことを御理解ください。
Q9 指しゃぶりをします。どうすればよいでしょうか。
3歳頃までは特にやめさせる必要はありません。お友達との外遊びや手遊びを増やしたり、お子さまの手を握ってスキンシップを図るなどしながら様子を見てください。4~5歳をすぎても頻繁な指しゃぶりが続くときは小児歯科医や小児科医にご相談ください。
Q10 小学生の息子の口臭が気になります。
口臭の元は、細菌によって分解されたタンパク質が臭気の元となるメチルメルカプタンなどの物質に変化するためです。口の中は食物の残りや歯垢、細菌の死骸など、臭気の元となるタンパク質が常に存在しています。
むし歯で生じた深い穴や歯周病で生じた歯と歯ぐきの間の深い溝は、歯ブラシが届きにくく口臭の発生源となる事があります。また、舌の表面は小さな凹凸があり舌苔と呼ばれる白や褐色の付着物が見られる事があり、これが厚くなると口臭の原因となります。舌苔が気になる方は歯ブラシではなく専用のタングクリーナーを使ったセルフケアーが効果的です。当クリニックでもタングクリーナーの使い方を指導していますが、実際に使われたお母様は、舌苔がごっそりとれて、かつ使用前後で口臭がかなり改善するのでびっくりされます。
ケアをしても改善しないときは、蓄膿症などの耳鼻科の病気や、胃腸系の病気、口臭が無いのにあるように感じる心因性の自己臭症等が考えられますが、小児ではまれです。
Q11 余分な歯(過剰歯)がある、と指摘されました。
歯科検診でレントゲン検査をしたところ、上顎に乳歯でも永久歯でもない余分な歯がある事を指摘され、とても驚かれたとの事です。このような正常な歯以外の余分な歯を過剰歯といい、特に上顎の真ん中付近によく見られます。
正常な永久歯の生えかわりを妨げるような位置にあれば適当な時期に抜歯をします。過剰歯はしばしば歯ぐきや歯を支える骨の中に埋まった状態で見つかるので、そのときは歯ぐきを切開し、歯の周囲の骨を少しけずって抜歯する事になります。
そのまま放置すると、過剰歯のある部位にもよりますが、歯並びに悪影響を与える事があります。歯科医院で定期的に検診を受けて、生え変わりの時期である5~6歳になったらレントゲン検査で歯の過不足をチェックし、早期発見早期治療で対応して行く事が大切です。
Q12 小学校入学を機に歯みがきを子どもにまかせたいと思っています。だいじょうぶでしょうか?
いいえ、個人差はありますができれば小学4年生くらいまではみてあげてください。小学1年生のころは新しい永久歯が生え始める時期です。生えたばかりの永久歯は石灰化が未成熟なためちょっとしたみがき残しでもたちまちむし歯になってしまいます。そんな永久歯をむし歯にしないためには丁寧な歯みがきが必要です。でも小学校低学年のお子さんにはそんな手先の器用さはまだ備わっていません。ちゃんとした自己管理ができる時期は小学4年生以降だとお考えください。
Q13 乳歯のむし歯が悪化して膿がたまっています。診てもらった歯医者で抜かなければいけないと言われましたが、
本当に抜いても大丈夫でしょうか?抜いた後は放っておいても問題はありませんか?
膿がたまるというのは、乳歯の神経が死んでしまい、根っこの周囲の歯槽骨に感染が広がった状態を意味します。抜くか抜かないかは、根っこの状態や、歯槽骨の吸収の有無、生えかわりの永久歯がどこにあるかなどを総合的に判断して決めます。一般的には一度感染した乳歯はなかなか治らないので、永久歯への悪影響を避けるため抜歯を行うことはまれではありません。抜いた後どうするか、これも人によってまちまちなので、個別に対応しています。一般的には乳歯を抜くと隣の歯が傾斜したり、ずれたりしやすいので、抜いたスペースを温存する(保隙といいます)ための装置を入れることが推奨されています。しかし保隙する必要がまったくないお子さんもおられます。かかりつけの小児歯科医と相談の上、十分に納得されてからされるといいと思います。
一部の保隙装置は、平成26年より健康保険適用となりました。
Q14 永久歯がでこぼこに生えてきました。矯正治療は必要ですか?
歯の大きさと歯を支える顎の骨の大きさの不調和が原因です。生えかわりをじゃまする乳歯があれば、乳歯を少しだけ削るか抜いて様子をみます。4本の前歯の生えかわりを待って矯正治療が必要かどうかを判断します。この時期にすぐ矯正をしないと手遅れになる、ということはないと思います。
Q15 小学生で歯列拡大の矯正をすれば将来歯を抜かなくてすむと聞きましたが本当ですか?
はい、確かにそういう方もいらっしゃいますが、全員が抜かなくてすむということはありえません。歯列拡大といっても限界はあるし、極端に歯が大きい方や顎が小さい方もおられます。無理な歯列拡大の結果、前歯が突出したり、上下の歯がかみ合わないなど新たな別の不正咬合をまねく可能性もあります。最終的な治療ゴールが定まらないまま「とりあえず歯列拡大」という治療(いわゆる床矯正治療)は当クリニックでは行っておりません。
Q16 小児歯科では何歳までみてもらえるのですか?
医院によって、小学生まで、第2大臼歯が生えるまで、18歳までなど様々です。当クリニックでは定期的なメインテナンスを推奨していることと、本格的な矯正治療を行っている関係上、何歳までとはっきりとした線引きはしていません。ただし初診年齢が中、高校生で大人特有の歯科治療(歯周病や神経の治療、義歯、ブリッジ、差し歯など)が必要な患者さんは他の一般歯科をご案内しています。
Q17 矯正治療で歯を4本抜かないといけないといわれました。健康な歯を抜いても大丈夫ですか?
歯が少なくなって噛みにくくなるということはないのですか?
矯正治療は最終的なゴールをどうするか、どうしたいかを患者さんとよく話し合ってお互い納得の上で、歯を抜くか抜かないかを決めます。
たとえば電車の長いすを想像してください。6人掛けのいすにおとな7人が座ろうとしたらどうでしょうか。ひどく窮屈になって誰かが座れなくなります。7人掛けのいすに身体の大きなお相撲さんが7人座ろうとしたらどうでしょう。これも無理だと思います。
歯は通常上下左右各7本ずつあります。もともと顔が小さめで顎の骨の大きさも小さいと、7本すべての歯はおさまりきれないことになります。逆に顎の骨は普通サイズでも1本1本の歯が全部大きめだとこれもおさまりません。それを解決する手段の一つが抜歯です。また上下ともに歯ならびがきれいであっても、噛みあわせのずれ、たとえば上顎が前の方に出ている(出っ歯)、下顎が前にずれている(受け口)などの症状があれば、これも解決手段の一つとして抜歯が考えられます。
治療によって口許が美しく改善し、安定した噛みあわせが実現すれば、決して噛みにくいということはありません。
Q18 親知らずが生えてきました。よく親知らずは痛いとききますが本当ですか?
生えてきたら抜かないといけないのですか?
親知らずというのは正式には第3大臼歯といい、前から数えて8本目の歯です。今の日本人の平均的な顎の大きさからすると、8本目の歯がゆとりをもって生える余地のない方がほとんどです。ゆとりがないと斜めに傾いて生えてきたり、埋もれたままだったりします。そうなると歯みがきが普通にできないため不潔になりやすく、たびたび炎症を繰り返すことになります。これが痛みの原因です。きちんと生えてきたら抜く必要はありませんが、そうでない場合は抜歯の検討が必要です。
大学入試や入社試験等をひかえてらっしゃる方は、大切な本番の日に親知らずの痛みで実力が発揮できないということにならないよう、早めにかかりつけの歯科医に相談されておくとよいでしょう。